障害年金申請で診断書の記載が重要な理由

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 伊藤美穂

最終更新日:2023年06月12日

1 診断書は障害年金の申請に必要な書類です

 障害年金の支給がされるには、障害年金の支給要件を満たすだけの重い障害があると認定される必要があります。

 これを、障害年金の程度要件と呼びます。

 この程度要件を満たしているかどうかの判断は、障害という体の傷病の程度に関する話であるため、医学の専門家以外が、どんなに症状が重いのだと訴えたとしても、あまり効果がありません。

 医学の専門家である医師が診察をしたうえで行った診断があって、はじめて、医学的に障害の存在や程度が説明可能になります。

 そして、障害年金の審査の際に、主治医を毎回、年金機構の事務所に召喚して聴き取りを行うわけにはいきませんので、障害年金の程度要件の審査は、原則として医師の作成した診断書の書かれた内容をもとに行われます。

 そのため、障害年金の申請では診断書の記載が非常に重要になります。

 診断書の内容次第で受給の可否や障害等級の決定結果が大きく左右されると言っても過言ではありません。

2 医師に診断書の作成を依頼するときのポイント

 障害年金は、手足や視覚、聴覚などの障害をもった人が受け取るというイメージが強いかもしれませんが、実際には精神の障害で受け取る方が数多くいます。

 精神障害は、身体の障害よりもご自身の申告によって書かれる部分が多いので、医師とのコミュニケーションが必要となります。

 診断書作成依頼時に、ご自身の日常生活の状況や就労状況についてのメモを作成して、医師に渡しておくといいかもしれません。

 症状や状況を正確にしっかりと医師に伝えて、診断書を作成してもらうことが大切です。

 また、診断書を作成してもらったら、しっかりと内容を確認してください。

伝えたつもりでも間違えて伝わっていて事実とは異なることが書かれていたり、症状が記載されていなかったりする場合もあります。

 その場合は、医師に訂正を依頼してください。

 正しい資料で審査をしてもらうことが、障害年金の申請では重要ですので、診断書の記載には特に注意が必要です。

3 遡及請求を行う場合

 また、障害年金では、過去に遡って年金の支払いを請求することもあります。

 これを障害年金の遡及請求と呼びます。

 この場合にも、障害年金の現症日を過去に遡った障害認定日(原則として初診日の1年半後)の日付で診断書を書いてもらう必要がありますので、医師が診断書にどのような日付を記載するのかが重要となります。

4 適正な障害年金を受給するために

 障害年金の受給の可否や認定結果は、生活を大きく左右するものです。

 きちんと診断書の記載を確認しかったことで、受給が認められなかったり、実際の症状に見合わない等級しか認定されなかったりすると、労働できないにもかかわらず適正な障害年金が受給できなくなってしまいます。

 納得の行く結果に少しでも近づくよう、医師としっかりとコミュニケーションを取り、正確な診断書を作成してもらうことが大切です。

 また、診断書を書いてもらった後も、診断書の内容はこれでいいのか、不安に感じる部分も多いと思います。

 一度専門家に相談して、診断書を見てもらうことで不安が解消されることもあります。

 当法人では、障害年金の相談料は原則無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

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