呼吸不全で障害年金を請求する場合のポイント

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 伊藤美穂

最終更新日:2024年06月10日

1 呼吸不全

 呼吸不全の障害年金申請の際には、医師に「診断書(呼吸器疾患の障害用)」を作成します。

 障害年金における呼吸器疾患の認定は、①肺結核、②じん肺、③呼吸不全、④気管支喘息、の4つに分かれています。

 呼吸不全とは、原因のいかんを問わず、動脈血ガス分析値、特に動脈血O2分圧と動脈血CO2分圧が異常で、そのために生体が正常な機能を営み得なくなった状態を言います。

 主に慢性呼吸不全が生じた状態で、閉塞性換気障害(肺気腫、気管支喘息、慢性気管支炎等)、拘束性換気障害(間質性肺炎、肺結核後遺症、じん肺等)、心血管系異常、神経・筋疾患、中枢神経系異常など様々な病気があり、肺疾患のみが対象疾患というわけではありません。

2 診断書作成の際の注意点

 呼吸不全になると、咳、喘鳴、胸痛、息切れなどの症状が発生し、チアノーゼ、呼吸促迫、低酸素血症などの他覚所見が出現します。

 診断書には、上記の他覚所見や自覚症状のほかに、動脈血ガス分析値、予測肺活量1秒率、運動負荷肺機能検査等の検査結果や、一般状態区分表の一般状態を記載して、具体的な日常生活状況等を含めて総合的に障害等級を判断します。

 なお、呼吸不全の障害の程度の判定は、動脈血ガス分析値を優先し、その他の検査成績等も参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定することとされており、客観的な基準が重視されています。

3 障害年金を請求する場合のポイント

 このように、障害年金の審査では「自覚症状」「他覚所見」「検査所見」の3つの観点と一般状態区分から総合的に判断されて認定が行われます。

 特に検査成績のような客観的な結果が重要とされていますので、検査時期による数値の変動が大きい場合には、いつ時点の診断書を提出すべきか慎重に検討する必要があります。

 また、呼吸器疾患の診断書については、記載内容が細かいため、医師の記載内容が漏れていることもあります。

 記載がなければ審査の対象になりませんので、記載されるべき部分がきちんと記載されているかをチェックすることも、正当な障害年金を受給するためには重要なポイントです。

 また、診断書上の自覚症状とともに、病歴・就労状況等申立書でこれまでの自覚症状や日常生活における支障ついて記載し、その記載が診断書と一致することも重要なポイントになります。

 障害年金の審査の際にきちんと伝わるように作成しなければなりません。

 呼吸不全での障害年金の申請の際には、専門家にご相談ください。

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