障害者年金

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 伊藤美穂

最終更新日:2022年12月27日

1 障害者年金

 年金には、高齢になったときに受けられる老齢年金、亡くなった方に生計を維持されていた子・配偶者が受けられる遺族年金のほかに、病気やケガによって生活や仕事などが制限される場合に受けられる障害年金があります。

 これを「障害者年金」という名前であると誤解されている方が多いのですが、正確には「障害年金」といいます。

 「障害年金」は、一定の障害になったときに受けられる年金で、身体の障害だけでなく、うつ病やがん心筋梗塞などの病気についても要件を満たせば、障害年金を受けられます。

 また、「働いているともらえない」「障害者手帳がないともらえない」と誤解されている方も多いのですが、働いている方や、障害者手帳がないと方の場合でも、要件を満たし障害等級に該当すると認定されれば、障害年金を受けることができます。

2 障害年金制度の仕組み

 障害年金は、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2階建ての構造になっており、障害基礎年金は、等級の重い順に1級と2級、障害厚生年金は1級から3級まであります。 

 病気やケガではじめて病院へ行った日のことを「初診日」と言いますが、初診日に国民年金に加入していた場合は障害基礎年金を、初診日に厚生年金に加入していた場合は障害厚生年金を受けることができ、障害厚生年金の1級と2級の場合は、障害基礎年金も合わせて受けることができます。

 ただし、20歳前の年金制度加入前に初診日がある人は、障害基礎年金を受けることになります。

3 受給三要件

 障害年金を受け取るためには、「受給三要件」を満たすことが必要です。

 一つ目の要件は、「初診日に公的年金に加入していること」です。

 二つ目の要件は、「初診日の前日に一定期間保険料を納付していること」です。

 原則として、初診日のある月の前々月までの被保険者期間の3分の2以上の納付があるまたは免除されていること、または、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないことが必要です。

 三つ目の要件は、「障害の程度が等級に該当していること」です。

 障害の程度が「障害等級」に該当していると認定されなければ、年金を受け取ることはできません。

 障害年金は、一定程度の重い症状等がある場合に認められるものであり、障害の等級は、認定基準で定められています。

 等級に該当するかは、主に診断書で判断されていますので、診断書は重要な書類になります。

 障害の程度を確認する日を、障害認定日といいます。

 障害年金を受け取るためにはこれらの要件を満たす必要がありますが、20歳前に初診日がある人は、一つ目と二つ目の要件は不要です。

 これらの要件がすべて満たされないと、障害年金を受けることはできません。

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