障害年金と労災給付に関するQ&A
障害年金と労災給付に関するQ&A
Q障害年金と労災はどちらも受給できますか?
A
障害年金と労災保険は、それぞれ別の根拠法に基づく別の制度であり、受給の要件が異なります。
仮に、同一の病気やケガについて障害年金と労災保険のどちらの受給要件も満たしている場合には、法的には、障害年金と労災保険の両方を受給する権利が発生します。
ただし、同時に両方の制度から満額の給付を受給できるわけではなく、法律上の併給調整が適用される結果、労災保険からの給付額を減らす調整が行われます。
Q障害年金と労災給付の併給調整とはどのようなものですか?
A
障害年金と労災給付の併給調整は、障害年金の満額を受給した上で、労災保険の給付額を減額する形で行われます。
具体的にどの程度の減額調整がされるかは、障害年金が、障害厚生年金のみを受給する事案か、障害基礎年金及び障害厚生年金を受給する事案かなどによって、調整割合が異なる制度設計になっています。
ただし、労災保険の障害(補償)給付が一時金(8級~14級)の場合は、障害年金を受給しても減額されません。
また、障害年金の等級が障害手当金の場合、労災保険の障害(補償)給付の受給権があると、障害手当金は支給されません。
上記の調整は、障害年金と労災保険の給付が同一の病気やケガに基づく場合に行われます。
Q労災保険と障害年金はどのように違うのですか?
A
労災保険と障害年金は、根拠となる制度が異なります。
障害年金の根拠法である国民年金法、厚生年金法は、被保険者の老齢、障害又は死亡に対して適切な保険給付を行うことで、被保険者の生活の安定と福祉の向上を目指す制度です。
一方で、労災保険の根拠法である労災保険法は、業務上の事由又は通勤による負傷、疾病、障害、死亡等に対して給付を行うことで、労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図る制度です。
そのため、例えば、労災保険では業務上又は通勤上の負傷疾病等による障害であることが必要であり、私傷病により障害状態となっても労災保険の受給はできません。
これに対して、障害年金では業務上、通勤上の負傷、疾病に限らず、私傷病による障害でも障害認定の対象となります。
また、障害年金では障害等級を1級から3級で区分しているのに対して、労災保険の障害(補償)給付では1級から14級で区分するなど、そもそも障害の評価の仕組みが異なります。